
ナレーションや歌声を聴いた時に高い音、
特に「サシスセソ」の音がうるさく感じる事はありませんか?
これは元々の声質が原因の場合もありますが、録音の際にマイクに近づきすぎたり、
全体にイコライザー処理を行ったりした場合におこります。
これらの不快な音は「歯擦音(しさつおん)」と呼ばれています。
今回はその歯擦音を抑えてくれる「DeEsser(ディエッサー)」
というエフェクトの使い方をご紹介します。
今回練習に使う音源は以下から入手可能ですので、ご自由にダウンロードしてお使いください。
※48kHz 24bit ※個人利用の範囲内でお使いください
環境・出典:WINDOWS 10、CUBASE PRO 10、DeEsser

音声の確認
エフェクトの効果を確認できる音声をご用意しました。
前半は元の音源、後半はディエッサーを掛けた音源です。
前半は「S」の部分、特に「サンデー、ウェンズデー、サタデー」
の高音がきつく感じられるかと思います。
後半のディエッサーを掛けたあとは、耳障りな高音が抑えられ声が聴きやすくなっていますね。
仕組み

ディエッサーは、
「サシスセソ」の音が不快に聴こえる音量まで上がった時に、そこだけコンプレッサーを掛けて抑えるエフェクト
だと思っていただければと思います。
高音域を抑えるだけならイコライザーで削ってしてしまえばよいのでは?
と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、
イコライザーを使うと、常に高音域を削ってしまうので、
不快ではない高音域までも削り、音がこもってしまう可能性があります。
そこで、このような専用のエフェクトを使って抑えていくのです。
それでは早速、CUBASEのトラックにDeEsserを挿入していきましょう!
準備
ダウンロードした【 De_Month.wav 】をDAWに読み込み、サイクル再生モードにましょう。
トラックに DeEsser を挿入します。
Insert > スロット1 > Dynamics > DeEsser
コントローラー・画面

DeEsserが立ち上がりました!画面とコントローラーについてご説明します。
ディスプレイ
現在再生されている音域をグラフで表す「スペクトラム」が表示されます。
・境界線を左右にドラッグすれば、設定したい周波数帯域を調整する事が可能です。
・周波数帯域の範囲内を左右にドラッグすると、範囲を移動することが出来ます。
・SHIFT+左右にドラッグすると、周波数帯域の幅を変えることが出来ます。
また、以下のFilterから細かく数値を設定する事も可能です。
Filter

DeEsserを掛けたい音域の設定・確認が出来ます。
LO | 左側の境界線の周波数帯域を設定します。 |
HI | 右側の境界線の周波数帯域を設定します。 |
SOLO | 選択した周波数帯域のみを再生できる状態にします。 このモードにすると耳障りな帯域を狙いやすくなります。 |
DIFF | DeEsserにより取り除かれる音のみを再生します。 このモードにすると、狙った音だけが抑えられているかを確認することが出来ます。 |
Dynamics

Filerで決めた音域の音量を、どの位抑えるか決めることが出来ます。
REDUCT (リダクション) | 歯擦音を抑える強さを調節します。 |
THRESH (スレッショルド) | どの位の音量を超えたら、歯擦音を抑えるか決めます。 AUTOにすると、自動で調整されます。 |
RELEASE (リリース) | スレッショルドを下回った時に、どのくらいの時間でエフェクトの効果がゼロになるかを設定します。 |