【ステップ1】英語ナレーションの原稿を決める
まずは、原稿の内容を決めましょう。
基本的には日本語版とほぼ同じ内容で制作することが多いと思いますが、
ここで必ず覚えておきたい重要ポイントは「日本語を英語にすると、原稿量が約20~30%長くなる」ことです。
つまり、仮に日本語のナレーションが、通常速度で間を空けずに読み上げていた場合、
英語ナレーションを尺に合わせようとすると、早口になってしまいます。
その結果、焦って紹介しているような印象になったり、伝えたい思いを強調できず単調なナレーションになったりしてしまうリスクが高まります。
元の日本語ナレーションがゆっくりと間を空けながら読み上げていて、かつシーンも細かく切り替わらないような作品の場合は、特にそのままの原稿でも問題にはなりません。
しかしそうではない場合は、次のような方法で調整を行うことをおすすめします。
日本語の原稿を調整する方法
① 原稿を省略する
日本語原稿の文章を減らしたり言い回しを変えたりして、シンプルにする方法です。
これは内容が変わるため、どのように調整するかをクライアントと慎重に打ち合わせすることが大切となります。
メリット:
- 映像編集が最小限で済み、コストと時間を削減できる
- 英語ナレーションが早口で不自然になることを防げる
デメリット:
- 伝えたい内容が全て伝えられない可能性がある
- 内容が薄くなる可能性がある
② 映像を合わせる
内容はそのまま、英語ナレーションのタイミングに合わせて映像を編集する方法です。
この場合は映像編集の負担が増えるため、必要に応じ制作費の調整となる必要な場合があります。
メリット
- 英語ナレーションが適切な読み上げ速度となり、視聴者が理解しやすくなる
- 視聴者が集中できて、映像のテンポもよくなる
デメリット
- 映像編集が増えて、負担が増える
- 素材が足りない場合は、映像が間延びする可能性がある
原稿の調整が必要かどうかを判断する基準
事前に日本語原稿の省略や調整をすべきかの基準は、以下を参考にしてみてください。
調整なしでOKなコンテンツ例
- 日本語ナレーションがゆっくり読み上げている
- シーンが切り替わるまで余裕があり、英語ナレーションが日本語ナレーションの尺に収まらなくても問題がない
- 英語ナレーションが日本語ナレーションより早口でも問題ない
事前の調整が望ましいコンテンツ例
- 日本語ナレーションやBGMに合わせ、次々とカットが変わるリズムが重要な映像
- 日本語ナレーションが通常速度~速めで、間が少なく全体を通して続けて読み上げられている場合
- 日本語ナレーションと全く同じ速度感で英語ナレーションを読み上げてほしいが、日本語と同じ尺に収めたい場合
調整が必須なコンテンツ例
- ホワイトボードアニメーションなど、ナレーションに合わせて細かくタイミングが調整されている場合
【ステップ2】翻訳を依頼する
日本語の原稿が固まったら、次は翻訳を依頼しましょう。
翻訳会社やフリーランスの翻訳者に依頼できますが、いずれの場合もチェックポイントは以下の通りです。
ポイント① 正確に翻訳できる専門知識がある
当たり前かもしれませんが、最も大切な事は「日本語が英語に正しく翻訳されているか」ということです。
どんなに文法が正しくても、どんなに表現がネイティブのように自然でも、翻訳内容が間違っていては元も子もありません。
依頼したい分野で知識と経験のある翻訳者に依頼しましょう。
ポイント② 希望する翻訳の方向性を伝える
翻訳者に依頼する時に、目的・用途・トーンを必ず伝えましょう。
翻訳といっても、論文用・契約書用・字幕用・ナレーション用・台詞用・ナレーターの年代やトーン、発表する対象者など、原稿の用途や目的は様々です。
そのため、これを伝えるかどうかで、翻訳のスタイルが大きく変わる場合があります。
たとえば企業VPの場合、以下のように伝えることができます:
- 用途:製品紹介動画の英語ナレーション用
- 対象者:主に展示会に来場した、○○業界の専門知識がある程度ある30~50代の男女(ビジネス用途)
- 目的:来場者の関心を引くことと、営業・接客のサポート
- トーン:落ち着いた声の40代男性ナレーターが、対象者に向けて分かりやすくポジティブに説明する雰囲気で、自然な表現を希望
その他の翻訳依頼時のポイント
英語ナレーションの原稿とは別にテロップの翻訳も依頼する場合は、
ひとつの原稿の中に「テロップのセクション」「ナレーションのセクション」で分けておき、その旨を記載するか伝えておきましょう。
また、可能であれば動画を共有することで、細かい内容を理解することが可能となり、より正確で適切な翻訳ができる可能性が高まります。
なお、当日納品など短納期を売りにしている翻訳サービスでは、納期が最優先されるため、細かいリクエストに対応できない場合があります。その点には注意が必要です。
ポイント③ 質問の回答やニュアンスの調整ができる
翻訳したら完了ではなく、実際に伝えたいニュアンスが反映されているかを確認することが大切です。
英文の細かいニュアンスについて気になることがあったら、質問の回答やニュアンスの調整をしてくれるかどうかを事前に確認しておきましょう。
この時大切なのが、例え質問する内容が正しいか分からなくても、少しでも気になることがあったら遠慮せずに質問することです。
相手がしっかりとしたプロであれば、しっかりと説明してくれるはずですし、必要に応じ細かいニュアンスの調整ができ、安心して制作に進めます。
調整を行いながら、理想の原稿に仕上げていきましょう。
【ステップ3】ネイティブチェック
次のステップは、ネイティブチェックです。
ネイティブチェックとは、英語が第一言語(ネイティブ)の視聴者が読んだり聞いたりした時に、正しく自然な表現かどうか原稿をチェックし、必要に応じ修正やリライトを行うことです。
これは、翻訳会社や英語ナレーション制作会社がオプションで受け付けていることがあるほか、ネイティブチェックのみの編集サービスを依頼できる場合もあります。
サービスによって、誤字脱字のチェックのみなのか、全体的に魅力が伝わるようリライトしてくれるのか、など作業範囲は様々ですので、確認をしてから依頼しましょう。
なお、ネイティブチェックといっても、依頼するサービスによっては、編集者がネイティブ(英語が第一言語)とは限らないので、もしクライアントからネイティブ編集者の指定がある場合は、そこも確認しておきましょう。
なぜ英語ネイティブチェックが重要か
英語のネイティブチェックは、想像以上に非常に重要です。
英語の音声制作サービスを提供している立場から、これを言うのも少し極端な意見かもしれませんが、仮に英語ネイティブチェックか英語ナレーションのどちらかしかできないとしたら、私は確実にネイティブチェックをすることをオススメします。
これには深い理由があります。
ネイティブチェックなしの場合
例えばECサイトなどで、以下のような商品紹介文を見かけたことはありませんか?
「あなたは、この力強い切れ味の刃に刺激を受けます!」
「私たちは人類共通の困りごとを解決する概念を一番としています」
もちろん、意味は理解できますし、文法的にも間違いはないかもしれません。
そして一所懸命翻訳して、商品を紹介していることも伝わります。
実際、商品紹介のページで補足情報として見るならよくあることで、そこまで気にならないかと思います。
しかし仮にこのような文のトーンで、プロの日本語ネイティブナレーターが企業VPで5分間読み上げるとしたらどうでしょうか?
正直「聞くのが辛い…」と感じてしまいませんか?
ナレーターも本来の技術を発揮しリズムよく読むことができず、ぎこちない読み上げになってしまうことが想像できます。
これが英語ナレーションで起きてしまい、本来会社や商品の魅力を伝えるために作った映像が、逆にイメージダウンしてしまうという悲しいことが起きてしまう可能性があるのです。
翻訳とネイティブチェックの目的の違い
上記の例は少々極端で、通常はしっかりとした品質管理を行っている翻訳会社や翻訳者に依頼していれば、このような大きなリスクは避けられます。
しかし、そうではなかった場合、このような状況が翻訳後の原稿で沢山起きてしまっているというのも事実です。
上記の理由から、「正確な翻訳」は翻訳で、「自然な英語か」はネイティブチェックで行う
という全く違う役割のものとして、必要なステップとして考えていただければと思います。
ネイティブチェックのメリット
ネイティブチェックはリスク回避だけでなく、多くのメリットもあります。
たとえば日本語の文章でも、プロのライターにチェックや編集を依頼すると、とても読みやすく、魅力的な文章になりますよね。
英語原稿でも同じで、自然な流れのある文章になることで、視聴者にとって理解しやすくなるだけでなく、ナレーターもメッセージをより効果的に強調し、魅力的に表現しやすくなります。
その結果、作品全体のクオリティ向上にもつながるのです。
動画に込めた思いやメッセージを確実に世界に届けるために、ぜひネイティブチェックを行うことをおすすめします。
【ステップ4】仮の英語ナレーションで確認
ネイティブチェックが完了したら、プロの英語ナレーターに依頼する前に、まずはAIで仮ナレーションを生成してみましょう。
あくまで仮なので、細かい発音や声質は気にせず問題ありません。
仮ナレーションを入れるメリットは、以下の通りです。
メリット① 速度感を確認できる
仮ナレーションを映像とタイミングを合わせることにより、おおよその速度感を把握できます。
映像尺に収まるかどうかも確認できるので、事前に編集内容の打ち合わせや英語原稿の調整ができます。
メリット② 細かいミスや直したいところに気づける
声で聞くすることによって、原稿を読むだけでは気づかなかった、細かいミスやニュアンスの違いを見つけることができます。
これを本番ナレーションの収録後に気付いて原稿を変更した場合は、再収録費用が発生する可能性がありますが、仮ナレーションの段階なら必要に応じた原稿の修正や調整を事前に行うことができ安心です。
なお、原稿を修正することになり一部の再翻訳を依頼する場合、必ず翻訳者に全体の原稿も一緒に送りましょう。これにより、トーンや用語を統一した翻訳が可能となります。
仮の英語ナレーション作成時のポイント
AIで仮ナレーションを制作する際に重要なポイントは、不自然になっても良いのでAIナレーションの速度を20%程度遅くしておくことです。
そして決してこの段階で、AIナレーションに合わせて映像を短く編集しないようにしましょう。
モデルにもよりますが、機械音声は基本的に間をあまり空けずに読み上げます。
それに対してプロの英語ナレーターは、商品や会社の魅力、そして強調すべき特徴やメッセージに合わせて適度に抑揚を付けたり間を多く入れたりして、視聴者を引き付ける読み方をします。
つまり、AIナレーションを遅くした状態が、実際にプロの英語ナレーターが合わせて読み上げた時に、丁度良い速度感になるイメージです。
なお、もしこの段階でAIナレーションを遅くせずに映像に同期して、ちょうど尺に収まっている場合、その尺にプロの英語ナレーターがタイミングを合わせると、読み上げが早口になってしまう可能性が高いです。
もしそうなってしまった場合は、ステップ1と重複しますが、以下の対応を検討しましょう。
- 英語の原稿の一部を省略する
- プロの英語ナレーションに合わせて、映像尺を伸ばす
- 多少早口でも問題ない場合、そのままプロの英語ナレーターに依頼する
【ステップ5】英語ナレーション
仮ナレーションの確認が終わったら、本番のナレーションを依頼しましょう。
依頼をする方法は、英語ナレーション制作会社やフリーランスの英語ナレーターに依頼する方法があります。
基本的には数名をクライアントに提案して、その中から選んでいただくことが多いと思いますが、その時のポイントを確認していきましょう。
英語ナレーターを探すポイント
ナレーターや制作会社を探して選ぶ際のポイントは以下の通りです:
- ネイティブかバイリンガルか
- 利用条件を確認
- 納期と予算は合うか
- 声質と音質の確認
①ネイティブかバイリンガルか
企業VPの場合、クライアントからネイティブ(英語が第一言語)の英語ナレーターを指定されることが多いかと思います。
視聴者が英語圏なので、対象の国にとってより自然なイントネーションで英語を読めるネイティブナレーターが好まれるためです。
そのため、クライアントから指定がある場合は、ナレーターが英語ネイティブかどうかをプロフィールページで確認しましょう。
アクセントについて
英語には大きく分けて「アメリカ英語」と「イギリス英語」があります(実際には他にも多くのバリエーションがあります)。
一般的に、グローバル向けの企業VPではアメリカ英語のナレーターが選ばれることが多いです。
逆にイギリス、オーストラリア、インドなど、映像を公開する地域が明確に決まっている場合は、その地域で馴染みのあるイギリス英語のアクセントが好まれることもあります。
そのため、ナレーターを選定する前に、クライアントに希望の英語のアクセントがあるかどうかも確認しておきましょう。
多くの場合、英語ナレーターのプロフィールには対応しているアクセントが記載されているので、選定時に確認できます。
バイリンガルの場合
それでは、バイリンガル(日本語が第一言語で英語が話せるナレーター)の場合はどうでしょう?
バイリンガルのナレーターに依頼するメリットが特に大きいのは、文化や歴史などに関する内容で、日本語が多く登場するの原稿の時などです。
バイリンガルナレーターは日本語が流暢なため、人名、地名、作品名などの日本語の固有名詞が多く登場しても安心して依頼できます。また直接やりとりできる場合、結果的に短納期でプロジェクトを成功させられる可能性があります。
それに対し英語ネイティブナレーターの場合、日本語の発音は個人の経験や得意不得意に大きく左右されます。
ディレクション付きのサービスの場合はスムーズに進行できることが多いですが、そうではない場合は納期に時間が掛かったり、発音に妥協しなければいけないこともあるかも知れません。
しかしネイティブ・バイリンガルのどちらのナレーターに依頼する場合でも考えておきたいのが「日本語と全く同じアクセントでの読み上げ」にこだわりすぎると、英語の視聴者には聞き取りづらく、記憶に残りにくくなってしまうという点です。
発音ミスはもちろん修正することが大切ですが、視聴者に伝えたいメッセージが届かなくなってしまっては本末転倒です。
そのため、特にこだわりたい部分を除いては、英語での自然なイントネーションに合わせて読み上げてもらい、無理に日本語のアクセントに拘りすぎないことをおすすめします。
②利用条件を確認
企業VPということは商用利用が前提で、クライアントにも公開する期間中は安心して利用してもらう必要があります。
将来のためにも、利用条件や規約は非常に重要です。最初にしっかりと詳しく確認しましょう。
特に、必ず確認したいのは以下の三つです。
- 「商用利用や著作権などの権利は、どうなっているか」
- 「ナレーションを利用できる期限はあるのか」
- 「将来的に短尺版など別バージョンを作っても問題ないのか」
プロジェクトの用途に応じて必要な権利は異なると思いますが、ここは重要なので焦ったり曖昧にしたりせず、しっかりと確認しておきましょう。
また、将来のために、記録として契約条件の書面やスクリーンショットを残しておくと安心です。
③声質と音質の確認
利用条件が問題ないことを確認したら、英語ナレーターのボイスサンプルを試聴しましょう。
ボイスサンプルを試聴しながら、希望するイメージに近い声質のナレーターを探します。
プロジェクトに合いそうなナレーターがいたら、ボイスサンプルをクライアントに共有・提案して、最終的に候補者を決めましょう。
ボイスサンプルの注意点
ボイスサンプルの音質について確認したい点は、ボイスサンプルが実際に使う機材で収録されたものかを確認することです。
スタジオ録音する場合や、ボイスサンプルが同じ機材で収録した旨が説明されている場合は問題ありませんが、
場合によっては「公開しているボイスサンプルはスタジオで録音と編集されたが、実際に録音する環境は宅録で簡易的な機材」ということがあると、品質が全く違う、ということが起きてしまいます。
そのようなリスクを避けるため、記載がない場合は事前に確認することをオススメします。
④納期と予算は合うか
次は予算と納期です。両方ともプロジェクトの計画内に収まるか確認しましょう。
予算について
予算は1回の収録費用だけではなく、以下の費用も含めた合計額で見積もっておきましょう。
- 本番収録の料金
- 商用利用権など必要な全ての権利の料金
- 修正や再収録料金(最低1回の修正を想定)
- タイミング合わせ(同期)のオプション料金
※以下は必要な場合のみ:
- サンプル音声 録音料金
- 短納期料金(本番と修正両方)
納期について
英語ナレーションに限ったことではないですが、納期と品質はトレードオフです。
特にナレーションの場合は「声」です。例えば1日など短納期で依頼すると、特に人気ナレーターの場合は、予定していた複数のプロジェクトを録音した後に収録するため、声が枯れてしまったり品質が落ちてしまうリスクがあります。
また、読み間違いにより、結果的に何度も修正をしなければならないかもしれません。
短納期で依頼するポイント
可能な限り余裕を持ったスケジュールで依頼できるのが理想ですが、実際は複数の関係者がチェックをすることが多いため、原稿の確定が遅れがちです。
その結果、いくら計画的に進めても仕上がるのが納期ギリギリになってしまうことが多いのではないでしょうか。
そのような時に原稿が完成したタイミングで見積り依頼をすると、英語ナレーターのスケジュールが合わなかった場合、代替ナレーター探しで大忙しになってしまいます。
そのような状況を避けるには、事前に英語ナレーターのスケジュールの確認・確保をすることです。
例えば依頼の2週間~数日前くらい前に
「○日~○日に原稿が完成する予定で、○日での納品を希望しているが、対応可能か」や
「この期間中、受付を休止する予定はあるか」などを確認しておくと安心でしょう。
体調不良や天災などによる急な休みは予測できませんが、事前に確定しているスケジュールは教えてもらえるはずなので、確認しておけると安心です。
英語ナレーションの依頼
原稿が完成し見積りが問題なければ、いよいよ英語ナレーションの制作を依頼しましょう。
翻訳の時と似ていますが、その時に伝えるべき内容の例は、以下の通りです:
- 用途:製品紹介動画の英語ナレーション用
- 対象者:主に展示会用(ビジネス)、○○業界の30~40代の男女
- 目的:来場者の関心を引くことと、営業・接客のサポート
- トーン:ボイスサンプルの「落ち着いた」を希望
- トーンの補足:ビジネス向きで落ち着きつつも、明るい未来を感じるポジティブさを感じる声で読み上げてほしい
- 同期の希望:映像におおよそのタイミングを合わせて読んでほしいが、不自然な速度になりそうなら自然さを優先してほしい
- 添付ファイル:動画と原稿(動画の画質は低くてOK)
プロの英語ナレーターは、基本的に原稿の内容からどこが重要で強調すべきかなど、ポイントを事前にチェックし計画するため、特段こだわる部分がない限りは、細かく説明はしなくても問題ありません。
しかし「誰が視聴するのか(対象者)」「どこでどのように使われるのか」の情報は不足していることが多いため、それらを伝えられると意識して読み上げができ、より高品質な作品を実現できるでしょう。
英語ナレーションの検収
英語ナレーションが納品されたら、希望する内容や仕様で仕上がっているか確認しましょう。
品質管理やディレクション付きのサービスの場合は、通常ダブルチェックが行われるので大きな心配はありませんが、個人のナレーターに依頼した場合は、読み間違いがないかの確認が必要となります。
しかし、日本語と比べ英語のヒアリングは大変難しい場合があります。
そのような時は、自社またはクライアントの英語が得意な人に確認してもらうのがベストですが、難しい場合は外注で機密保持を徹底している、英語文字起こしサービスなどに対応可能か確認してみましょう。
なお、プロではない英語が得意な友人に頼むことは、秘密保持の観点からリスクがあるのと品質の責任がとりにくいため、守秘案件の企業VPの場合は避けた方が良いでしょう。
英語ナレーションの確認が終わり、必要な場合は修正依頼をして、仕上げていきましょう。
【ステップ6】MA(整音・同期)
英語ナレーションが完成したら、整音と同期を行いましょう。
ナレーション制作サービスに含まれている場合は、この作業を行う必要はありません。
しかし、ご自身や制作チームの担当の方が編集する場合は、日本語ナレーションと比べて気を付けるべきポイントがあるのでご紹介します。
英語ナレーションの整音
英語ナレーション整音時の注意ポイントは、「英語の大事なニュアンスを消さない」ことです。
例えば英語では単語の語尾に「ng」「m」「n」「t」「p」など、聞こえるか聞こえないかの音量で入っている微妙な音があります。
これらをノイズと勘違いして消してしまったり、一括処理で強めのクリック除去を行うと、単語が途中で切れてしまい、正しく聞き取れなくなってしまう可能性があります。
細かい編集が必要となるので、もし英語が聞き取りにくい場合は、英語音声対応のMAスタジオやMAミキサーに依頼して整音してもらいましょう。
英語ナレーションと映像の同期
英語ナレーションを映像と同期する際に気を付けたいのは、「間」です。
すでに何度かお伝えしている通り、プロの英語ナレーターは、伝えたいことを強調して引き立てられるよう、そしてリズムがよくなるよう、あえて間を意識して読みあげています。
しかしそれを不要と感じて、尺に合わせるために極端に削除してしまうと、リズムが崩れ不自然になり、英語圏の視聴者が聞きにくくなってしまいます。
もし尺の関係などでどうしても間を詰めたい場合は、文の途中で詰めるのではなく、段落(ピリオド)の直後で次の文との間を調整しましょう。
大切な「スケジュールのバッファ」
これまで色々とご紹介しましたが、全てにおいて準備しておきたいのが制作スケジュールのバッファ(ゆとり)です。
バッファについては日本語版・英語版の動画制作ともに変わりなく重要ですが、特に英語版においては日本語と比べ、不備や調整したい個所に気付くのが遅れやすく、急な修正が多く発生しがちです。
さらに、クライアント側の英語の担当者が限られていて、通常より確認に時間がかかる場合があります。
そのため、プロジェクトの内容にもよりますが、一つ一つの工程に日本語の動画を制作する際と比べ、余裕をもってスケジュールを立てると、より安心して制作に励むことができます。
また、英語に関するサポートも提供している、ワンストップの英語ナレーション制作サービスに依頼するのもお勧めです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では、英語ナレーションを使った企業VPを作る際に大切な6つのステップをご紹介しました。
これらのステップで大事な点を抑えることで、予算と納期を抑え、安心して利用でき、そして満足いく品質で楽しい英語版動画の制作のお役に立てると幸いです。
また、当スタジオではこれらのポイントやリスクをトータルサポートする、英語ナレーション制作のオールインワンパックサービスを提供しております。
英語のネイティブチェック、整音、同期、著作権譲渡、品質管理からサポートまで、制作に必要な工程やオプションをまとめてご依頼いただけます。
また、ご要望に応じたカスタム案件のご相談も承っております。お力になれることがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。


